【医師コラム】レーザー治療はシミの救世主
ある程度年齢を重ねると、たいていの方が悩む「シミ」です。
確実にシミを取りたいと願うそんな方に、今回はクリニックでできる積極的なケアでシミを取るお話をします。
紫外線が原因となってできるシミの代表といえば、老人性色素斑ですね。
このシミは誰でも歳を取ればできる可能性があります。
薄くて小さいものから色濃く大きなものまでさまざまなシミがありますが、より確実に取り除きたい場合はレーザー治療をお薦めします。
なぜレーザー治療が良いのでしょうか?
レーザー治療では、病変に存在するメラニン色素にレーザー光が選択的に吸収され、その時生じた熱で病変を破壊します。
この時、周辺組織への熱伝導が極力抑えられ、周囲の正常皮膚へのダメージが最小限に留まります。
他の治療に比べ、副作用を最小限に抑えながら効率的にでき、ほとんどの場合、1回のレーザー治療でシミの除去が満足度高く行える治療です。
究極のシミ治療と言ってもいいでしょう。
レーザー治療が勧められない方も
シミの除去はレーザーが最も効果的ですが、ごく薄いシミはレーザー治療の適応にならない場合があります。
レーザー治療はメラニン色素が光に吸収されたのち、シミの組織に熱ダメージが加わることで成り立っています。
メラニン色素があまり存在しない薄いシミの場合、レーザー光の吸収が抑制されて熱が十分発生せず、病変の熱破壊が行えない結果、シミが取れてくれない場合があります。
この場合は、光の照射量を増やせば十分な熱が発生して病変の除去が可能になりますが、熱が周辺組織にも伝わってしまい、正常皮膚が熱傷に近いダメージを負うことになります。
その為、病変がカサブタとなって取れた後、シミ病変の下層の正常皮膚が熱ダメージを負ったことで、治療部位に発赤がはっきりと生じます。
この発赤は炎症後の色素沈着という一過性のくすみになり、長期間にわたって濃い状態で続くことになってしまいます。
通常のレーザー治療後も発赤と炎症後の色素沈着はつきものですが、こちらの場合はもともとあったシミよりも目立たないことが多く、治療の経過としても受け止めやすく外用剤塗布により数か月で消失します。
対して、薄いシミのレーザー治療後の発赤と炎症後の色素沈着は、もともとあったシミよりも目立ってしまい、半年以上に渡って消えないことがあり、治療して悪くなったと思ってしまいがちです。
ですが、この悪化して見える現象は、ごく薄いシミを取るのには避けて通れないものなのです。
ごく薄いシミを取ろうとする場合、一過性ですが悪化して見えてしまうのを了承してレーザー治療を受ける、あるいは外用塗布で薄くなるのを期待するかのどちらかになります。
治療途中の症状を我慢できるか?が判断の分かれ目
紫外線による老人性色素斑のレーザー治療は、禁忌症例はありませんが、先ほど述べたように治療経過が受け止め難い症例もあります。
一時的に悪くなっても最終的にしみが取れるならば良い、と思える方にはレーザー治療は適応となります。
一方で、一時的であるにせよ、悪く見える時期が存在することが許容できないならば外用剤をお勧めします。
いずれにせよ、治療前に治療経過についてしっかりと理解することが必要です。
医師と相談して、是非自分に合った治療法を選択してください。